賃料相当損害金とは?
賃貸人が、建物(もしくは土地)の賃貸借契約を解除して、賃借人に対し、建物の明渡しを請求する訴訟を提起する際、明渡しと共に明渡しに至るまでの「賃料相当損害金」を請求することが通例ですが、この「賃料相当損害金」とはどういうものなのでしょうか?
まず、賃貸借契約は解除されたのですから、解除後、賃料は発生しません。しかし、賃借人は無償で利用できるはずもありません。この場合、賃貸人は、賃借人の建物占有によって、賃貸人が建物を使用できないという損害を受けており、賃借人から建物の返還を受けるまで、この損害の賠償を請求することができるのです。
損害金の額は、賃借人が直ちに当該建物を明け渡したとすれば、賃貸人が自ら当該建物を利用し、または新たな賃借人に対して当該建物を賃貸するなどして、受けることができたであろう利益であり、「賃料相当損害金」と呼ばれています。
損害金の額は?
一般には賃貸借契約における賃料と同額になりますが、従前の賃料が相場よりも低額である場合、従前の賃料より高い金額とされることもあります。ただし、早期に訴訟を終了させ、明渡しの実現を優先させるのなら、従前の賃料額の賃料相当損害金を主張すべきでしょう。
賃料相当損害金の特約
賃貸借契約において、解除後、明渡しまでの間の損害金の額について特約があれば、これによります。実務上、従前の賃料額の倍額を定められていることも多いようです。
(弁護士 井上元)