分譲マンション売主の説明義務違反を認めた大阪高裁平成26.1.23判決

事案の概要

 マンション分譲業者(Yら)から六甲アイランドに所在する分譲マンションを購入した買主Xらが、Xらのマンション敷地の南側に隣接する土地上にYらが新たに建築中であったマンションにより、重大な日照阻害が生じ、Xらの人格権又は財産権が違法に侵害されているとして、Yらに対し、次の請求をしました。

①人格権又は財産権に基づき、マンションの建築工事の差止め

②上記の日照阻害又はYらのXらに対するマンション販売時の説明義務違反によって精神的苦痛を被ったとして、Yらに対し、不法行為又は債務不履行による損害賠償請求権に基づき慰謝料一〇〇万円の支払

原審・神戸地裁平成2566日判決

 原審は①の建築工事差止めについてはマンション既に完成していることを理由に訴えの利益がないとして却下しましたが、説明義務違反を認めて慰謝料10万円~50万円を認めました。

控訴審・大阪高裁平成26123日判決

 控訴審は次のように判示して、Yらの控訴を棄却しました。

「Xらにとって、Xマンションを購入するか否かを検討するに当たっては、六甲アイランドの優れた住環境を永年にわたり安定的に享受することができるかが重要であり、優れた住環境の内容には日照の確保も含まれるのであるから、Xマンションが含まれる区域の日影規制等についての情報や、本件土地にもマンションの建築計画があるのであればその情報も重要であったというべきである。他方で、Yらは、Xマンション敷地及び本件土地には日影規制等がないという特殊な状況にあることを知ってこれらの土地を購入し、Xマンションの販売の当時から、その特殊な状況を利用するかたちで本件土地上にもマンションを建築することを計画しており、計画が実現されれば、Xマンションの日照に影響を与える可能性が十分にあったといえる。このような事情は、日影規制等が及び、それを上回る水準の日照が確保されている六甲アイランドの他の区域の建物との間に、住環境として少なからぬ差異をもたらすものであり、Xマンションの住居としての価値を減少させるものであって、Xらにとって、Xマンションを購入するか否かを検討するに当たって極めて重要な情報というべきである。

 そうだとすれば、Yらは、XらにYマンションの購入を勧誘するに当たり、信義則上、Xらに対し、Xマンションが日照について日影規制等による保護を受けないものであり、Yらが本件土地上にマンションを建築した場合に、Xマンションの日照に影響が及ぶ可能性があることを説明すべき義務があったというべきである。

 にもかかわらず、Yらは、本件説明書により、Xマンションが建築基準法による日照規制の対象とならないことを説明したにとどまり、本件土地にマンションが建築された場合にXマンションの日照に影響が及ぶ可能性のあることを説明しないばかりか、マンションが建つかもしれないが、Xマンション北棟と同南棟との間隔と同程度の間隔が確保される、プライバシーや日照についてXマンションの住民への配慮がされるなどと誤解を招くような説明をしている。

 したがって、Yらは、上記の説明義務を怠ったというべきである。」

コメント

 認容額は1人当たり数十万円と少額ですが、大手のマンション分譲業者による説明義務違反を理由として慰謝料を認めた珍しい事案です。

(弁護士 井上元)

この記事は弁護士が監修しています。

弁護士 井上元(いのうえもと) OSAKA ベーシック法律事務所

大阪弁護士会所属(1988.4 登録、日弁連登録番号:20771)
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弁護士 中村友彦(なかむらともひこ) OSAKA ベーシック法律事務所

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