コンイパーキング無断出庫と罰金

 コインパーキング式(後払い式)の無人駐車場が増えています。その駐車場のシステムは、利用者が駐車枠に車両を入庫させると機械がそれを感知して車両の前輪と後輪との間の位置に設置されたフラップ板が上昇し、出庫の際に、利用者が利用時間に応じて機械が計算した料金を精算機に投入して支払えば、フラップ板が下降して車両を出庫させることができるというものが多いようです。  そして、駐車場経営者は、駐車場に、「不正利用の場合は、罰金として5万円頂きます」などと記載した看板を設置していることもあります。

 このような状況で、駐車場利用者が、出庫の際、スラップ板を乗り越えて不正に出庫した場合、駐車場経営者が不正利用者に対して当該罰金を請求できるか争いとなった裁判例があります。

岡山地裁平成25年8月27日判決

 同判決は、次のように述べて、罰金についての契約が成立していると認めました。

「本件駐車場は、コインパーキング式(後払い方式)の無人駐車場であり、駐車枠、精算機、フラップ板等の無人駐車場設備を備えており、入り口付近に設置された本件看板に利用方法が記載されていること、本件記載は、本件看板のうち、赤字で「ご注意」と記載された項目の1つであり、本件記載の字の大きさは、「利用方法」として記載されている項目の字の大きさとほぼ同じであって、本件駐車場を利用する者にとって、容易に判読できるものであること、被控訴人は、過去に本件駐車場を2、3回利用しており、本件契約を締結していたことが認められる。上記認定事実によれば、控訴人は、不特定多数の顧客に対して、本件記載に係る違約金の定めを含む本件駐車場の利用契約の申込みをしており、被控訴人がこれを承諾して本件契約を締結したものであって、本件記載に係る違約金の定めは本件契約に含まれていると認めることが相当である。」

「以上のとおり、本件契約における違約金の定めの合意が有効に成立しているところ、被控訴人が本件契約において負担した駐車料金の支払義務を履行しないまま本件駐車場から出庫したことは「不正利用」に当たるといえるから、被控訴人は、控訴人に対し、本件契約における違約金の定めに基づき、違約金5万円を支払う義務を負う。」

 ただし、弁護士費用については、相当因果関係のある損害とは認めませんでした。

岐阜地裁平成21年10月21日判決

 同判決は、上記岡山地裁平成25年8月27日判決とは異なり、契約は成立していないと判断しました。

「財又はサービスの提供を受けようとする者が、自ら硬貨や紙幣等を入れて代金を精算するという無人の設備でもって、財又はサービスの提供を受けた場合、財又はサービスの提供者と利用者の双方とも契約の申込み又は承諾の意思表示をしたとはいえないものの、財又はサービスの提供者と利用者の双方が契約を成立させる意思を有すると認められる限りにおいて、その契約が成立したものと解するのが相当である。 これを本件についてみるに、被控訴人が、フラップ板を踏みつけた状態で本件車両を駐車し、駐車料金の支払いをしないまま、出庫していることからすると、被控訴人は、そもそも本件駐車場の駐車料金を支払う意思は全くなく、本件契約を締結する意思がなかったものと認められる。そうとすると、控訴人と被控訴人との間で本件契約は成立していないというべきである。」

コメント

 このように、不正利用については罰金を徴収するとの看板を立てていたとしても、その効力が認められるかにつき裁判例は分かれています。この点ご留意ください。

(弁護士 井上元)

この記事は弁護士が監修しています。

弁護士 井上元(いのうえもと) OSAKA ベーシック法律事務所

大阪弁護士会所属(1988.4 登録、日弁連登録番号:20771)
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弁護士 中村友彦(なかむらともひこ) OSAKA ベーシック法律事務所

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