賃貸マンションとバルコニーへの物置設置

賃貸マンションにおける賃借人のバルコニー使用権限

 多くの賃貸マンションでは当該居室の専用的なバルコニーが設置されていますが、賃借人によるバルコニーの使用を特に制限しない限り、通常、黙示的に専用使用権が設定されたものと解釈されるものと思われます。

 この点、東京地裁平成3年11月19日判決は次のように判示しています。

「マンション等の居室の賃貸借において、構造上、当該目的物たる居室の専用的な利用に供されるバルコニーがこれに接続している場合には、居室のみについて賃貸借契約が締結されたときでも、特に反対の意思表示がない限り、バルコニーについても居室の利用権と同一期限の専用使用権が設定されたと認めるのが相当である。

~中略~

 したがって、原告は被告に対し、七〇一号室の賃貸借契約締結の際、これに付随して、本件バルコニーについて黙示的に専用使用権を設定していたと認めるのが相当である。」

バルコニーに物置の設置は認められるか?

 それでは、賃借人は、バルコニーに賃貸人の承諾なく物置を設置することができるのでしょうか?

 この点、上記東京地裁平成3年11月19日判決は次のように判示しています。

「しかしながら、バルコニーは建築構造上躯体の一部であり、管理上も共用部分と考えるのが一般的であるから、居室の居住者の専用使用権が認められるとしても、建物の居住者等の、緊急時の避難を妨げ、もしくは建物自体の維持、管理を妨げ、老朽化の原因となり、あるいは建物の美観を害するような利用は、その性質に照らしても予定されていないものと解するのが相当である。

~中略~

 本件物置はスチール製で間口1.5メートル、奥行90センチメートルであり、人の背丈程度の高さを有するものであり、取り外して移動させるには相当な時間と労力が必要であること、さらに、この物置の設置により、物置と床あるいは外壁との隙間に落ち葉等のごみが溜まり、排水の妨げとなるなど建物の老朽化を促す一因ともなりうること、防水工事自体は不可能ではないが、本件物置のような重量の物に対応させるには、より高度の工事が必要となり、原告に予想外の出費を強いることになること、また、外観の点でも、本件建物はオフィス街に立地するので、住宅地以上にバルコニーに物を置かない等の配慮をし、美観を保つことが賃貸物件としての価値の維持に必要であることが認められる。

 そうだとすると、本件物置の設置は、本件バルコニーの性質に照らして通常の利用の範囲を超えているものというべきである。」

 そして、上記判決は、賃貸人の賃借人に対する物置撤去の請求を認めました。

黙示の承諾に注意

 上記判決のとおり、バルコニーに物置を設置することは原則として認められないと解されますが、賃貸人が、賃借人が物置を設置したことを知っていながら長期間放置していると、黙示に承諾したと解される危険がありますのでご注意ください。

(弁護士 井上元)

この記事は弁護士が監修しています。

弁護士 井上元(いのうえもと) OSAKA ベーシック法律事務所

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