建物賃貸借と土地の使用

建物賃借人による敷地の合理的な範囲での使用

 建物賃貸借において、賃借人は建物だけではなく、建物を使用するために必要な範囲で敷地も使用することができます。

 この点、最高裁昭和38年2月21日判決は、「建物所有を目的とする土地の賃貸借においては、土地賃貸人は、土地賃借人が、その借地上に建物を建築所有して自らこれに居住することばかりでなく、反対の特約がないかぎりは、他にこれを賃貸し、建物賃借人をしてその敷地を占有使用せしめることをも当然に予想し、かつ認容しているものとみるべき」とし、東京高裁昭和34年4月23日判決も「元来住宅に使用するための家屋の賃貸借契約において、その家屋に居住し、これを使用するため必要な限度でその敷地の通常の方法による使用が随伴することは当然であって、この場合その敷地の占有使用につきことさらに賃貸人の同意を得る必要はない。然しながらその使用占有は飽迄も賃借家屋の使用占有に伴うもの、言い換えれば本来の目的たる家屋の使用占有する上において常識上当然とされる程度に限られるものと言わなければならない。」としているところです。

合理的な範囲か否かの基準

 合理的な範囲での使用か否かを判断する基準については、個別の判断にならざるを得ませんが、次の事例が参考となります。

①東京地裁昭和61年6月26日判決

「ビルの一階店舗の賃借人が、一般的に、当然に当該ビルの敷地を使用する権利を有するとはいえないが、ビルの一階店舗の構造、外観、敷地との位置関係、店舗の業種、契約内容、現実の占有使用態様等によっては、用方に限界があるとはいえ、道路に面する敷地について、賃貸借の目的物である店舗に付随してこれを占有使用する権利を有する場合があり、その有無は、具体的事案によって判断されるべきものというべきである。」

②最高裁昭和50年7月10日判決

「借地上に存する建物の賃借人が地主及び家主に無断で該建物の下屋部分を取り殿し、その跡地及び国道から建物に至る通路として利用していた敷地部分に賃借建物の床面積の約3分の2に達する木造瓦葺二階建店舗を築造する目的で角柱、支え材等を設置することは、建物賃借人の敷地の使用収益権の範囲を逸脱したものである。」

③最高裁昭和38年9月27日判決

「土蔵造り瓦葺2階建家屋(建坪6坪)の賃借人が賃貸人所有の敷地またはこれに隣接する同人所有地上に木造瓦葺2階建居宅一棟(建坪約6坪)を無断で建増ししたような場合においては、賃貸人は著しい不信行為のなされたことを理由として催告なしに賃貸借契約を解除することができる。」

違反行為への対応

 建物賃貸人は、賃借人が合理的な範囲を超えて敷地を利用した場合、違反行為の停止や原状回復請求ができますし(上記最高裁昭和50年7月10日判決、)、違反の程度が著しい場合には契約解除も可能です(上記最高裁昭和38年9月27日判決)。

(弁護士 井上元)

この記事は弁護士が監修しています。

弁護士 井上元(いのうえもと) OSAKA ベーシック法律事務所

大阪弁護士会所属(1988.4 登録、日弁連登録番号:20771)
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弁護士 中村友彦(なかむらともひこ) OSAKA ベーシック法律事務所

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