土地賃借権譲渡・転貸の承諾に代わる許可

賃借権の譲渡・転貸の制限

 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができません(民法6121項)。そして、賃借人がこれに違反して第三者に賃借物を使用又は収益させたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができます(同条2項)。

 借地借家法により、借地権や借家権は強く保護されていますが、上記の賃借権の譲渡・転貸の制限の規定については、借地や借家にも適用されますので、借地人や借家人は、地主や家主の承諾を得ることなく、借地権や借家権を譲渡したり、転貸したりすると、賃貸借契約を解除されてしまいます。

 尚、借地権の譲渡とは、具体的には、建物所有目的の借地の場合には建物を譲渡するということになります。

土地賃借権の譲渡・転貸の許可

 上記のとおり、借地人は、借地上の建物を譲渡するためには、地主の承諾を得る必要がありますが、地主が承諾してくれないと、譲渡することができず、投下資本を回収できないことになってしまいます。

 そこで、借地借家法19条では、裁判所は、借地権者の申立により地主の承諾に代わる許可を与えることができるとしました。これにより、借地権者は、建物建築のために投下した資金を回収することができるのです。尚、裁判所は、許可するに際し、財産上の給付を命じることができるとされており、実務上、借地権価格の10%程度が基準とされているようです。

 借家権については、このような譲渡・転貸の家主の承諾に代わる許可の制度はありません。

借地非訟

 上記の①土地の賃借権譲渡・転貸許可申立の他に、②借地条件変更申立、③増改築許可申立、④借地契約更新後の建物再築許可申立、⑤競売又は公売に伴う土地賃借権譲渡許可申立、⑥借地権設定者の建物・賃借権譲受等申立があります。これらは借地非訟と言われ、権利義務を確定させる訴訟ではなく、非訟手続による裁判所の後見的判断により紛争の解決が図られます。

 借地非訟の利用は少なく、大阪地方裁判所においては、平成22年以降、年間約10件程度しかなく、そのほとんどは①土地の賃借権譲渡・転貸許可申立であるとのことです。

 その理由は、経済的にペイしないということもあるのかもしれませんが、借地非訟という制度が余り知られていないことも理由なのかもしれません。

(弁護士 井上元)

この記事は弁護士が監修しています。

弁護士 井上元(いのうえもと) OSAKA ベーシック法律事務所

大阪弁護士会所属(1988.4 登録、日弁連登録番号:20771)
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