将来の賃料相当損害金に対する遅延損害金請求

土地(もしくは建物)の賃貸借契約を解除して明渡し請求訴訟を提起する場合、通常、①被告は原告に対し土地(もしくは建物)を明け渡せ、②被告は原告に対し土地(もしくは建物)の明渡し済に至るまで月額○円を支払え、との判決を求めることになります。

②は将来の賃料相当損害金(賃貸借契約は解除されていますので「賃料」ではなく「賃料相当損害金」となります)の請求です。例えば、331日に口頭弁論が終結したとすると、41以降の賃料相当損害金が将来の請求となります。

実体法上は、将来発生する賃料相当損害金を支払わなかった場合、これに対して遅延損害金が発生しますが、この遅延損害金も同じ訴訟で請求することができるのでしょうか?

この点、東京地裁平成24731日判決が、遅延損害金の将来請求は不適法であると判断していますのでご紹介します。

細かいところですが、正確に理解しておいてください。

東京地裁平成24年7月31日判決・判例秘書

以上の検討によれば、本件各賃貸借契約は、原告の解除により終了しているのであるから、被告は原告に対し、本件各賃貸借契約の終了に基づき本件各建物を収去し本件土地を明け渡す義務及び本件土地の明渡済みまでの賃料相当損害金を支払う義務があるというべきである。

なお、原告は、本件土地の明渡済みまでの賃料相当損害金の将来請求に加えて、これに対する各月の末日から支払済みまでの遅延損害金についての将来請求を求めている。

しかし、将来発生する損害金の請求が許されるのは、その請求権の基礎となるべき事実関係及び法律関係が既に存在し、その継続が予測されるとともに、同請求権の成否及びその内容につき債務者に有利な影響を生ずるような将来における事情の変動が、あらかじめ明確に予測しうる事由に限られ、請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止し得るという負担を債務者に課しても格別不当とはいえない場合に限られると解するのが相当である(最高裁判所大法廷昭和56年12月16日判決・民集35巻10号1369頁)。

本件において、もともと将来請求である賃料相当損害金の請求に加え、この賃料相当損害金支払債務が将来履行遅滞に陥る場合に発生すべき遅延損害金の請求についてもこれを認めるとすれば、この遅延損害金に係る執行を阻止するためには、債務者である被告に対し、請求異議の訴えを提起して、賃料相当損害金及び既発生の遅延損害金を支払った事実を証明すべきとする負担を課すことになるところ、一般的にこのような賃料相当損害金の支払期限というのは明確でないから、債務者である被告に対し、賃料相当損害金に加えて遅延損害金も計算してその支払を証明させる負担を課すのは、相当性を欠くといわざるを得ない。

したがって、この遅延損害金の将来請求は許されず、この遅延損害金の請求に係る訴えは、不適法というべきである。

民事訴訟法135条

将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。

 

(弁護士 井上元)

この記事は弁護士が監修しています。

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