賃借人の死亡を期限とする合意解約の効力

高齢の者に建物を賃貸する場合、賃借人が死亡しても相続人が借家権を相続し、賃借人の死亡を賃貸借契約の終了事由と定めても、借地借家法30条により無効と解されています。

しかし、合意解約する場合には、例外的に、合意に際し貸借人が真実土地賃貸借を解約する意思を有していると認めるに足りる合理的客観的理由があり、しかも他に同合意を不当とする事情がない場合、賃借人の死亡を期限として賃貸借契約を合意解約することが有効と解されることがあります。

最高裁昭和31年10月9日判決・民集10巻10号1252頁は、建物賃貸借の期限付合意解約について、従来存続している家屋賃貸借について一定の期限を設定し、その到来により賃貸借を解約するという期限附合意解約は賃借人に不利な特約に当るものとすることはできないとしています。更に、最高裁昭和44年5月20日判決・民集23巻6号974頁は、土地賃貸借の期限付合意解約について、合理的客観的理由の存在と、不当事情の不存在を要件として、土地賃貸借の期限付合意解約を有効としているのです。

事案によってはご検討いただければと思います。

最高裁昭和44年5月20日判決・民集23巻6号974頁

思うに、従来存続している土地賃貸借につき一定の期限を設定し、その到来により賃貸借契約を解約するという期限附合意解約は、借地法の適用がある土地賃貸借の場合においても、右合意に際し貸借人が真実土地賃貸借を解約する意思を有していると認めるに足りる合理的客観的理由があり、しかも他に右合意を不当とする事情の認められないかぎり許されないものではなく、借地法11条(※借地借家法16条)に該当するものではないと解すべきであるところ、原審確定の前記事実関係のもとでは、本件期限附合意解約は右に説示する要件をそなえているものと解するのが相当であるから、本件期限附合意解約は有効であって、本件土地賃貸借契約は、期限の到来によって解約され、上告人は被上告人に対し本件土地を明け渡す義務があるものというべく、これと同旨の原判決の判断は正当である。

(弁護士 井上元)

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