共有物分割請求が権利濫用とされることもあるのでしょうか?

共有は濃密な人間関係を前提にすることが多いため、共有物分割請求においては、共有物分割の請求を行うこと自体が権利濫用であると争われる事例が相当数見受けられます。

権利濫用

共有関係にある場合、親子や夫婦など、もともと濃密な人間関係に基づくことが多いと思われます。このような場合、将来の権利関係に十分配慮することなく共有となっているため、これを分割すると不都合が生じ、権利濫用として争われることが多いように思われます。
共有物分割請求権の行使が権利濫用と判断されるか否かについては、一般論としては、当該共有関係の目的、性質、当該共有者間の身分関係及び権利義務関係等を考察した上、共有物分割権の行使が実現されることによって行使者が受ける利益と行使される者が受ける不利益等の客観的事情のほか、共有物分割を求める者の意図とこれを拒む者の意図等の主観的事情をも考慮して判断するのが相当であるとされています(最高裁平成4年(オ)1013号同7年3月28日第三小法廷判決・集民174号903頁参照)。
権利濫用とされた事案としては、遺産分割協議によって共有者の1人である妻が本件不動産において余生をおくることを当然の前提として同人の持分割合を法定相続分よりも殊更少なくした事案、被告にとって当該不動産が唯一の生活の本拠であることに対し原告は十分な経済力を有している事案などがあります。

任意売却・競売により取得した第三者による分割請求

共有者からその共有持分の任意売却を受けたり、あるいは競売により取得した者が他の共有者に対して共有物分割請求を行うことも多々見受けられますが、いずれも、この事情のみで権利濫用とされることはありません。特に、競売落札者による共有物分割請求については、これを権利の濫用としたのでは適切公正な競売手続を阻害することとなりかねないとされています。

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