現物分割に際してどのような事情が考慮されるのですか?
現物分割に際してどのような事情が考慮されるのでしょうか?
一般論
一般論としては、共有者間の公平を保ちつつ、当該共有物の性質や共有状態の実状に合った妥当な分割がされるため、当該共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情が総合的に考慮されます(最判平成8・10・31民集50巻9号2563頁参照)。
分割案提出の必要性
現物分割を求める当事者が具体的な分割案を提出し、裁判所はその分割案が適正か否かを判断することになります。
現物分割の具体例
土地の面積・形状等
土地を現物分割するためには、当該土地が相応の面積を有し、且つ、分割可能な形状であることが必要です。
利用状況の考慮
分割に際しては当該共有物の利用状況が考慮されます。一方の生活環境が重視された事例もあります。
建物が建築されている事例
共有土地上に建物が存する場合、建物の位置を基準に土地が分割されることが望ましいと言えますが、建物が残存することが現物分割を必ずしも妨げるとは言えません。
希望が抵触する事例
共有者の希望が同じであったり、抵触する場合には各種事情を総合考慮して決されることになります。
当事者が隣地を所有している事例
当事者が隣地を所有していることが考慮される要素となります。ただし、当該隣地を所有している当事者が同意していない場合には当然に考慮されるとは言えません。
その他
上記以外にも、紛争の経緯、近隣地区計画による規制、建ぺい率など、いろいろな要素が考慮されます。
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