賃貸借契約の解除
賃貸している共有不動産につき、賃借人による賃料不払い等の債務不履行があった場合、共有者はどのようにして契約解除をすることができるのでしょうか?
共有物の処分・変更と解されるのなら全員の同意が必要(民法251条)、共有物の管理と解されるのなら過半数の同意で決めることができ(民法252条本文)、保存行為と解されるのなら各共有者がすることができます(民法252条ただし書)。
解除については民法544条1項で「当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。」と規定されており、この規定との関係も問題とされています。
最高裁昭和39年2月25日判決・民集18巻2号329頁は、共有物の賃貸借契約の解除は「管理」に該当するとしています(最高裁昭和47年2月18日判決・金融法務事情647号30頁、東京高裁平成2年12月20日判決・判例タイムズ判751号132頁も同旨)。
最高裁昭和39年2月25日判決・民集18巻2号329頁
共有者が共有物を目的とする貸借契約を解除することは民法252条にいう「共有物ノ管理ニ関スル事項」に該当し、右貸借契約の解除については民法544条1項の規定の適用が排除されると解すべきことは所論のとおりであるから、原審が、上告人および訴外Bの共有物である本件土地を目的とする貸借契約の解除についても同項の規定が適用されることを前提として、上告人だけで右契約を解除することはできないとしたのは、法律の解釈を誤ったものというべきである。しかし、共有物を目的とする貸借契約の解除は民法252条但書にいう保存行為にあたらず、同条本文の適用を受ける管理行為と解するのが相当であり、前記確定事実によれば、上告人は本件土地について2分の1の持分を有するにすぎないというのであるから、同条本文の適用上、上告人が単独で本件貸借契約を解除することは、特別の事情がないかぎり、許されないものといわねばならない。