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借地権の分割

借地権を準共有しており、これを分割することもあります。
全面的価格賠償や売却して代金を分割することが通例と思われますが、現物分割した事例も存します。

借地権を現物分割した事例

東京地裁平成20年10月9日判決(平成19年(ワ)第10636号)

借地権の現物分割を認めました。
主文「別紙物件目録一記載の各土地の、参加人と被告らの準共有に係る借地権を、別紙借地境界図2記載のア、イ、ウ、エ、オ、カ、キ、ク、アを順次直線で結んだ部分とその余の部分とに分割し、同境界図2記載のア、イ、ウ、エ、オ、カ、キ、ク、アを順次直線で結んだ部分を被告らの借地権の準共有部分とし、その余の部分を参加人の借地権部分とする。」
「まず、本件借地権の現物分割の是非について検討する。そもそも、本件借地権は、本件賃貸借契約という一個の契約に基づく不可分な権利であるから、これを現物で分割することは許されないようにも考えられる。しかし、本件賃貸借契約の対象とされている本件土地は、その地積が合計1006.6平方メートルにも及ぶ広い土地であり(略)、しかも、本件土地上には7棟の建物が存在し、少なくとも、被告らの所有する件外建物(2棟)とその余の本件建物(5棟)については、その敷地ごとに独立した利用が可能であると認められる。しかも、本件では、本件土地の所有者は、参加人であり、土地賃貸借契約の賃貸人を共有物分割手続に関与させないで、借地権を準共有者間のみで分割してよいかといった問題点は発生しない。したがって、本件借地権の現物分割は可能であると解するのが相当である。」

東京地裁平成14年11月29日判決(平成13年(ワ)27971号)

建物の現況を考慮した分割線により借地権を現物分割しました。
主文「1別紙土地目録1ないし3記載の土地の借地権を原告らの準共有とする。
2同目録4及び5記載の土地の借地権を被告らの準共有とする。」
「本件土地1上に原告ら建物が、本件土地4上に被告ら建物が存在し、建物の現況を考慮する限り、本件借地権は本件土地1及び4の境界線により分割するほか、その分割線を移動させる余地はほとんどないことが認められる。したがって、本件土地1ないし3の借地権を原告らに、本件土地4及び5の借地権を被告らに分割することが相当である。
本件土地の分筆は、被告らの関与のないまま本件土地1ないし5の所有者と原告らによりなされたものであるが、その内容は上記のとおり現況に沿ったものであり、合理的なものであることを考慮すると、上記判断を左右するに足りない。
被告らは、本件借地権を準共有持分のとおりに現物分割し、被告ら取得部分にはみだす原告ら建物の部分は撤去して更地にすべきであると主張するが、本件借地権の2分の1が亡Bに譲渡され原告ら建物が建築されている経緯などを考慮すると、原告ら建物の一部撤去を要するような分割は相当でないというべきである。
また、原告らが、本件土地1ないし3の借地権を取得するとすると、90.5平方メートルを取得することになり、準共有持分及び立替地代相当分よりも0.3平方メートル多く取得することになるが、これは評価額にして4万2304円にすぎず、わずかな誤差であるというべきであるし、原告らが本件借地権の地代を立替払いし、本件土地1ないし5を分筆した後も本件土地4及び5部分についても地代を立替払いしてきており、これにより初めて本件借地権が存続してきたといえることからすると、上記分割方法の相当性を左右するに足りない。」

東京高裁平成6年2月22日判決(平成3年(ネ)4206号)

地上に2棟の建物のある借地の共有物分割において建物の敷地ごとの現物分割をした事例です。
主文「1別紙物件目録四記載の建物及び同目録二記載の土地の借地権を第○○号事件控訴人○○の所有とする。
2別紙物件目録五記載の建物及び同目録三記載の土地の借地権について借地権付建物としての競売を命じ、その売得金を第○○号事件控訴人○○、被控訴人○○及び同○○はそれぞれ4分の1、被控訴人○○及び同○○はそれぞれ8分の1の割合で分割する。」
「このような建物と借地の状況からみるならば、借地を二分してそれぞれ独立した借地関係としても、土地の利用上特段の不利益を関係者に与えることはなく、また、一個の借地である場合に比し、その価格が著しく減少すると認めるべき事情も発見できない((不動産鑑定評価書)によれば、地上建物は老朽化しているがなお借地権の割合は六五パーセン卜程度あるものとして評価されている。)。そうであれば、本件共有不動産は、建物とその敷地を基準として現物分割をすることが可能であるといわねばならない。
被控訴人らは、道路境界などが未査定のため借地の範囲が明確でないというが、借地の範囲について地主との間に争いがあるわけではなく、所有権の境界に若干明確でないところがあるとしても、本件の場合、そのために現物分割が困難となるというほどの事情は認められないから、この主張は採用できない。
なお、共有物分割の裁判は、共有者間の法律関係を確定するにとどまり、借地権の(準)共有者と地主との関係を定めるものではない。したがって、右のように借地を現物分割するべき場合に、分割の裁判を受けた借地人と地主との関係は別途に処理されることとなるのであり、本件の事実関係のもとでは、被控訴人らのいうように地主の同意がない限り借地を分割することができないというものではない。」

全面的価格賠償により分割した事例

東京地裁平成19年6月29日判決(平成18年(ワ)3170号)

全面的価格賠償の方法により建物及び借地権を原告に単独取得させた事案です。
主文「1別紙物件目録1記載の建物及び同目録2記載の借地権を次のとおり分割する。
(1)別紙物件目録1記載の建物及び同目録2記載の借地権を原告の単独取得とする。
(2)原告は、被告に対し、○○○万○○○○円を支払え。
2被告は、原告に対し、第1項(2)の金員の支払を受けるのと引換えに、別紙物件目録1記載の建物について共有物分割を原因とする被告持分全部移転登記手続をせよ。」

東京地裁平成19年5月28日判決(平成18年(ワ)10565号)

全面的価格賠償の方法により建物及び借地権を被告に単独取得させた事案です。
主文「1別紙物件目録記載1の借地権及び同目録記載2の建物を次のとおり分割する。
(1)同目録記載1の借地権及び同目録記載2の建物を被告Y1の単独所有とする。
(2)被告Y1は、原告、被告Y2、同Y3及び同Y4に対し、それぞれ○○○万○○○○円を支払え。」

共有賃借権の分割請求はできないとされた事例

東京高裁昭和57年12月27日判決(昭和54年(ネ)2345号)

次のように述べて共有賃借権の分割請求はできないとしました。
「本件地上建物は、共有建物、控訴人所有(もと敬太郎所有)の区分所有建物、被控訴人所有の区分建物に区分されているところ、控訴人所有建物の二階の相当部分が被控訴人所有建物の一階の上にあり、被控訴人所有建物の二階の一部が控訴人所有建物及び共有建物の一階の上にあり、これを土地の側から見ると同一土地部分上に控訴人所有建物と被控訴人所有建物が重層的に存在しており、右土地部分は、これを敷地とする各区分所有建物にとっては必要不可欠の供用敷地となっているのである。また、本件共有建物の敷地も、重要な共用部分である。
右のような事実関係のもとにおいては、敷地の賃借権を共有する地上の各区分建物の所有者は、事柄の性質上、特段の事由のない限り、敷地の賃借権の分割を請求することは出来ないものと解するのを相当とする。けだし、共有物分割請求権は共有者の基本的な権利であり、最大限に尊重されるべきではあるものの、前述のような事実関係のもとにおいては、敷地賃借権は地上の区分所有建物(共用の建物部分もあれば、それを含む。)の従たる権利であるのに、敷地賃借権の分割により敷地上にある他の共有賃借人の区分所有建物の所有権は敷地についての不測の占有権原の得喪により重大な損害を蒙ることになるからである。
なお、分割請求を許されないとする点においては、右共有関係は、いわゆる含有関係と異ならないかの如くであるが、地上建物が滅失、朽廃したときには本来の分割請求ができないとはいえない等のことを考慮すると、本件共有賃借権を直ちに合有関係というのは相当でない。」

この記事は弁護士が監修しています。

弁護士 井上元(いのうえもと) OSAKA ベーシック法律事務所

大阪弁護士会所属(1988.4 登録、日弁連登録番号:20771)
「広く、深く」をモットーに研鑽に努めています。インターネット上の法律情報を整理したサイト「法律情報 navi」を運営していますのでご覧ください。

弁護士 中村友彦(なかむらともひこ) OSAKA ベーシック法律事務所

大阪弁護士会所属(2012.12 登録、日弁連登録番号:46674)
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