説明義務

売買に際して、売主が買主に対し、十分な説明をしなかった場合、売主らは一定の責任を問われることがあります。最高裁判所が判断した事例をご紹介しましょう。

最高裁平成16年11月18日判決の事案では、住宅・都市整備公団が団地の賃借人との間で賃貸借契約を合意解約し、建て替え後の団地内の分譲住宅につき譲渡契約をしたところ、公団が、買主に対し、一般公募を直ちにする意思がないことを説明しなかったこと、これにより買主らは公団の設定に係る分譲住宅の価格の適否について十分に検討した上で上記譲渡契約を締結するか否かの意思決定をする機会を奪われたことなどの事情の下においては、公団が買主に対し一般公募を直ちにする意思がないことを説明しなかったことは、慰謝料請求権の発生を肯認し得る違法行為と評価すべきであると判示しました。

最高裁平成17年9月16日の事案では、亡夫が購入したマンションの寝室から出火した火災について、室内に設置された防火戸の電源スイッチが切られており、防火戸が作動しない状態で引き渡されたことから、火災による延焼等の損害を被ったなどと主張して、亡夫の相続人が、売主に対し瑕疵担保責任等による損害賠償を、宅地建物取引業者に対し電源スイッチの位置、操作方法等を説明すべき義務を怠ったこと等の不法行為による損害賠償を求めたものです。最高裁は、売主には、本件売買契約上の付随義務として電源スイッチの位置、操作方法等について説明すべき義務があったと解され、宅地建物取引業者にも、当該事案では、売主と同様の義務があり不法行為による損害賠償義務を負うとしました。

最高裁平成18年6月12日の事案では、顧客に対し、融資を受けて顧客所有地に容積率の上限に近い建物を建築した後にその敷地の一部を売却して返済資金を調達する計画を提案した建築会社及び銀行に、建築基準法にかかわる問題についての説明義務違反があるとしました。

このように、売買に際しては、売主には買主に対して十分な説明をすべき義務がありますのでご注意ください。

この記事は弁護士が監修しています。

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